『ダンジョン飯』がアニメ化するらしい。YouTubeからBUMP OF CHICKENが歌う主題歌の告知が流れてきたのは最近のこと。アニメ化になるのも分かるなぁと思っていたら、漫画が完結した。
これは読み返さないわけにはいかない!最終巻を手にした私は、改めて1巻から読み直した。
読み終わり、ちょっと震えるような気持ちでこれを書いている。
この記事はネタバレを多少含みます。漫画を読まれていない方は、ぜひ読んでからもう一度戻ってきていただければ嬉しいです。
『ダンジョン飯』ってダンジョンの話?ご飯の話?
『ダンジョン飯』は、2015年にコミックス1巻がKADOKAWAから発売された、久井諒子先生の漫画だ。最終巻の14巻は、2023年12月15日に発売された。
ジャンルはファンタジーで、ポップな表紙をめくると紙質が良い図鑑のような目次が出てくる。なんだか豪華だぞと思って読み進めていくと、そこにはダンジョン(迷宮)の世界といきなり料理が登場する。
主人公は人間(トールマン)のライオス。炎竜(レッドドラゴン)に食われた妹ファリンを助けるため、仲間とともにダンジョンの最新部に潜る話である。道中ダンジョンでの食料問題を解決するために、魔物を食べながら進んでいくという凄いアイデアの話だ。
私はゲームが好きなので、RPGもよく遊んだ。ドラゴンクエストとかファイナルファンタジーとか。そこに出てくるようなきのこの魔物、スライムなどを次々と調理していく。
あれ?これって何の漫画だったっけ?
『ダンジョン飯』って魔物図鑑かもしれない
最初の料理は「大サソリと歩き茸(きのこ)の水炊き」干しスライムを添えて。確かに、ドラクエに大サソリもキノコもスライムもいたわ!と思うが、漫画ではどうやったら美味しく調理できるか、完成まで詳しく描かれている。
しかも魔物の生体や、スライムでは消化器官の構造まで描いてある徹底ぶり。確かに、魔物が実際いたら生き物としての構造がないとおかしい。食うか食われるかの生態系も存在するはずである。読みながらリアルな世界が目の前にあった。
仲間のマルシル(エルフ)は、「無理無理 絶対に無理!」と初めから拒否反応である。私も同感。ところが読み進めていくと、なんか食べれそう、美味しそうかもと思えてくるから不思議である。
コカトリス、確かに鶏と卵だ。クラーケン、イカだね。ミミック、ザリガニ...?マンドレイク、いやこれはちょっと...。この辺りは好みによるだろう。
とはいえ、みょうに魔物について詳しくなった気がする。ちょっとした魔物の図鑑だ。
翼獅子登場から見る欲への怖さ
改めてはっきりさせておくと、物語の目的は主人公が妹を助けるために迷宮へ潜ることだが、ライオスの魔物への興味は深い。
ひょっとしなくても おまえ前々から食べる機会伺ってただろう
第1話チルチャックのセリフより
初めこそ照れていたライオスも、迷宮を進んでいくと堂々と魔物を食べたい意思を表していく。
そこに物語のキーとなる翼獅子が、狂乱の魔術師を倒せと登場した。迷宮の道は更に深くなっていき、より登場人物の思いが細かく描かれていくのだが、思いが強くなるほど「欲望」が出てきた。漫画のキャラクターたちの強い欲は、良くも悪くも周りを巻き込んでいる。そんな世界を見て、欲って怖いんじゃないかと思ってしまった。
なんでかって、今こうやって書いていても私には欲しか出てこないから。健康でいたいし、美味しいものをいっぱい食べたい。ライターとして活躍して、上手な文章を書けるようになって、お金も稼ぎたいし、もっと本も読みたいし、私の文章を読んでくれた人がちょっとでも前を向いてくれたら嬉しい。
書き出せばキリがないと思う。でも、欲が深いと暴走してしまうのでは、独りよがりになってしまうのでは。自分の欲ばかり追いかけて良くないんじゃないか。結局自分のことばっかりなんじゃないか。
『ダンジョン飯』から欲に向き合う
欲ってどうしたら良いのか、どう向き合っていったらいいのか答えが出なかったので調べてみた。仏教における欲求・七つの大罪・マズローの5つの欲求など歴史を見れば欲は大きな関心事らしい。ちなみにここで深く論じるつもりはない。
違う方向に行ってしまいそうになったので、やはりここは初めに戻って『ダンジョン飯』を読み直し、気持ちに決着をつけてみるしかないと思った。
1話目、前述したチルチャックのセリフで照れたライオス。そうだ、途中は当たり前のように魔物を食べるライオスも、初めは恥ずかしかったのだ。その後は実際に食したり試行錯誤しながら仲間の理解を得られていくが、周りから見れば魔物を食べるなんて理解されないことが普通だ。私は、想像だけで何を怖がっていたのか。まだ始まってもいないじゃないか。それに理解をして欲しかったら、口に出してみて行動していくしかないのだ。それが本当にダメなことなら、私の身近な人たちがきっと止めてくれる。私は自分をあまり信用していないが、身近な人たちを信頼している。
最後に
ライオスは、魔物について真摯に向き合っていた。その姿勢が魔物を食したいという普通でないことでも、仲間の理解を得られていったのだと思う。物語は迷宮の奥へと進むことで、知識と経験と仲間を得ていった。
最近、家族に「ライターやってみたいんだ」とちゃんと話してみた。ドキドキしたけど、言えてホッとした。